聖霊降臨の主日 B年

第一朗読『使徒たちの宣教』

使徒言行録 2:1-11

ご昇天の祝日によって、地上で人間となった神の子の使命は終わり、聖霊降臨によって、新しい時代、聖霊の時代、教会の時代が始まるということになります。

福音書に書いてある通り、最後の晩餐の時には、まだ使徒たちはイエス様の教えなどを十分に知りませんでした。キリストの業は、聖霊によって完成されます。だから主イエスは、使徒たちの活動が始まる前に、聖霊の力をいただかなければならないと言われました(使徒言行録1:8)。聖母マリアと使徒たちは10日間祈って心の準備をしました。

いつもの通り、神は、空間で生きている私たちに、見えない恵みをなんとか五感によって感じられるものとしてあらわされます。聖霊降臨の場合には、イスラエル人だった使徒たちと最初の信者たちにとって、私たちよりもはっきりしたしるしになりました。なぜなら、「霊」と「風」は、ヘブライ語で同じ言葉だからです。ですから「激しい風が吹いて来るような音」(使徒言行録2:2)を使徒たちが聞いた時、神の霊が自分の上にそそがれるということがすぐにわかりました。それから、使徒たちがどのように宣教をすべきかを示すために、使徒たちの上に「炎のような舌」(使徒言行録2:3)があらわれました。「炎」は、熱心な宣教をあらわしています。また、その宣教は、ユダヤ人に対してだけではなく、使徒たちが知っているありとあらゆる国、遠い国でも、その国の言葉で使徒たちはキリストの復活を伝え、皆の驚きの中で始まります。

第二朗読『使徒パウロのガラテヤの教会への手紙』

ガラテヤ 5:16-25

パウロは、「肉」に従うことと「霊」に従うことが対立することを強調します。
他の箇所と同じように、「肉」とは、人間が神の助けが求めずに、悪の傾きのまま生きるという意味です。これに対して、「霊=聖霊」に従うキリスト信者として生きているなら、「愛」「喜び」「平和」「寛容」「親切」「善意」「誠実」「柔和」「節制」という実を結ぶはずです。

実際に、その実を結んでいるか見直すことは、良い反省になります。また、度々、その実を結ぶことができるように祈るべきです。

福音朗読『ヨハネによる福音』

ヨハネ 15:26-27、16:12-15

先ほど言ったように、最後の晩餐の時には、まだ使徒たちが理解することができないイエス様の色々な教えを、使徒たちは聖霊によって理解することになります。

新共同訳では「弁護者」となっている言葉は、原文では「パラクレトス」という言葉で、この広い意味の言葉を翻訳する時に、どんな訳でも何かニュアンスが失われます。直訳を言えば、「そばに居て(助けるために、慰めるために、元気付けるために)言葉をかける者」になります。ですから、裁判の弁護者の意味も含まれています。けれども、場合によっては、ただ「助ける者」「慰める者」と翻訳される場合もあります。

(文:キリストバル・バリョヌェボ神父)

参考文献

書籍『キリストへの新しい道』
著:キリストバル・バリョヌェボ神父

書籍『主日の聖書解説』
著:雨宮慧神父

冊子『聖書と典礼』について

毎週 主日のミサ で使われる冊子で、ミサで朗読される聖書箇所も書かれています。オリエンス宗教研究所 から発行されており、数週先のものまで各教会に置いてありますので、お近くのカトリック教会にてお求めください。