年間第11主日 B年

第一朗読『エゼキエルの預言』

エゼキエル 17:22-24

いつものように、第一朗読と福音朗読には関係があります。両方とも希望のメッセージです。しかしながら、この『聖書と典礼』で使われている新共同訳は、他の翻訳と少し違って意味がはっきりしません。例えば、他の国の聖書には「レバノン」という言葉は出てこないし、フランシスコ会訳の聖書も少し違います。そのことを別にして、簡単にエゼキエルのメッセージをまとめましょう。

イスラエルは、バビロンに奴隷のような状態で追い出されて、バビロン帝国と比べると小さい枝のようなものである。しかしながら、神様がその小さな枝(イスラエル)を植えて、それがどんな木(帝国)よりも大きなものになります。預言者たちは、イスラエルのバビロンからの解放という一時的で政治的な救いをみています。同時に、メシア(キリスト)によって行われる全人類の救いも預言者はみています。ですから、その実現は、今、教会(新しいイスラエル)によって行われているし、これから先、より完全に行われるでしょう。

第二朗読『使徒パウロのコリントの教会への手紙』

2コリント 5:6-10

私たちのまことの母国は「天の永遠の住みか」であり、そこから離れて、信仰によってそこに向かって歩んでいます。皆、キリストの審判を受けることになっています。

福音朗読『マルコによる福音』

マルコ 4:26-34

二つのたとえは、神の国の特徴をあらわしています。ユダヤ人が思っていたように、突然、全世界に大きな光の内にメシアがあらわれて、天の国ができるというようなことではなく、神の国は静かに成長していくということです。

からし種のたとえは、第一朗読と同じように、今は小さいものに見えたとしても、だんだん大きいものになるということです。

神の国(天国)には、多面的な意味があります。「天」は神のことをあらわし、「国(王国)」は王様として支配または統治(恐怖ではなく愛によって神に従順)されている状態です。私たちの心の中にも天国はあり、自分の心の悪と戦って、天国になるようにしなければなりません。この世も、教会が全世界に広がって、すべての人々の心がその状態になるように、信仰によって神に向かって巡礼します。そのようにして、天国は作られていきます。

(文:キリストバル・バリョヌェボ神父)

参考文献

書籍『キリストへの新しい道』
著:キリストバル・バリョヌェボ神父

書籍『主日の聖書解説』
著:雨宮慧神父

冊子『聖書と典礼』について

毎週 主日のミサ で使われる冊子で、ミサで朗読される聖書箇所も書かれています。オリエンス宗教研究所 から発行されており、数週先のものまで各教会に置いてありますので、お近くのカトリック教会にてお求めください。